CBF125R アクスルナット締め直し & トルクレンチ新調
前回の整備↓でリアのアクスルナットのトルクは 54 N・mと書いたが,マニュアルを眺めていると気になるページを発見した.
何やらこんなことが書いてある↓
扭矩规格
发动机机油泄油螺塞 30 N・m
后轮轴螺母 88 N・m
前轮轴螺母 59 N・m
后制动止推摆臂螺母 22 N・m
もしやと思ってGoogle先生に聞いてみると......
やっぱりな(レ)
つまり上の中国語は翻訳するとこんな感じらしい.
トルク仕様
エンジンオイルドレンボルト 30 N・m
リアアクスルナット 88 N・m
フロントアクスルナット 59 N・m
リアブレーキスラストスイングアームナット 22 N・m
一番下の「リアブレーキスラストスイングアームナット」だけよくわからないが,トルクロッドのナットのことだろうか.トルクもそんな感じだし.教えて偉い人.
ということで,前回の締め付けでは全然トルクが足りていないことが発覚してしまった.増し締めしないと......
スイングアーム抉れた😇 pic.twitter.com/npykFQm0zY
— ぼーいんぐ (@mimin0122) June 6, 2020
スイングアームが抉れた
不思議ですねぇ......
どうしてこうなったのかというと......
トルクレンチを 88 N・m にセット
↓
ナットを締めるがいつまでたっても指定トルクにならない
↓
さらに全力で絞めるとナットとスイングアームの間の板が変形しながら共回り
やっちまったぜ.まあ付いてしまった傷は仕方がないので後でやすってタッチペンしとこう.
それにしても締め付けトルク高すぎん?全身の力を込めてもトルクレンチ鳴らなかったんですけど.......
だいたい 88 N・m といったらレンチの長さが 1 m だったら端に 9 kgf くらいの力をかければいいはずだ.このレンチは長さが約 50 cm だから,20 kgf も力をかければ十分締まるはずなのだが......明らかにもっと力を入れたはず.
......さてはこのトルクレンチ狂ってるな?
確認するために近くのホームセンターで新しいのを買ってきた.
もし今のが狂ってなかったらこいつは友人に買い取らせよう.
さて,どうやってトルクを確認するかというと,いたって簡単.
同じ二面幅のソケットを使って......
こう.
あまりお行儀はよくないがまあどちらも締める方向にトルクをかけるんだし大丈夫でしょ(ガバ)
ということでお互いの測定値の差を測っていく.いくら安物とはいえ,今買ってきたばかりの新品が狂っているとも考えづらいので新品を基準にしよう.
まずは最低値の 20 N・m で試してみると,ほぼ同時に両方のトルクレンチが鳴った.ここは問題なさそう.
次はGSRのリアの締め付けトルクで試してみよう.測定トルクを 65 N・m にしてもう一度試してみる.
先に新しいほうが鳴った
つまり,古いほうは表示しているより高いトルクで締めつけていたということだ.新しいほうの数字を調整しつつ同時に鳴るトルクを探ると......
102 N・m
は?(威圧)
なんだこれは......たまげたなあ......
誤差 +60% ってマジ?こんなんじゃ商品になんないよ......
ということでいくつかのトルクでそれぞれの値を比較してみた.ちなみに今まで使ってたのは中村製作所のKANONというブランド.こいつは kgf・cm 表示なので,後で N・m にも直しておいた.
KANON[kgf・cm] | KANON[N・m] | E-value[N・m] |
200 | 19.614 | 20 |
300 | 29.421 | 33 |
400 | 39.228 | 45 |
450 | 44.1315 | 58 |
500 | 49.035 | 66 |
550 | 53.9385 | 73 |
600 | 58.842 | 92 |
650 | 63.7455 | 102 |
700 | 68.649 | 106 |
800 | 78.456 | ー |
900 | 88.263 | ー |
ええ......(困惑)
旧レンチの上の方に至ってはズレすぎていて測定できなかった.CBFのリアはさっきこの最高値で締めてたんですけど......
一応旧レンチのKANONの名誉のために言っておくと,ヤフオクで素性の知れない中古を安かったという理由だけで買った自分が悪いのだ.新品なら物はいいはず.高いやつだし.
とりあえずCBFのアクスルナットは一度緩めてから新しいほうで締めておいた.やっぱり簡単に締まるじゃないか(憤怒).ついでにGSRも点検したが,こちらもオーバートルクになっていたので一度緩めてから締めなおした.ところでどうしてパワーがあってシャフトの太いGSRのほうが指定トルク低いんですかね......?
まあ,レンチがオーバートルク気味に狂っていたおかげで,指定トルクより緩くてもナットが緩まなかったのかもしれない.これに関しては怪我の功名だった.とはいえオーバートルクはよくない.トルクレンチはトルク管理が必要な大事なボルトに使うのに,それをダメにしたりしたら本末転倒だ.
過去にブレーキキャリパーのネジ山を舐めてしまったこともあったが,その時もこのレンチで指定トルクまで締めたら舐めたのだ.今思えば,ブレーキキャリパー程度で済んでよかった.
思えば,旧レンチは費用をケチってヤフオクで中古を買ったのがいけなかった.信頼できない工具なら無い方がマシなんだよなぁ.なぜ気づかなかったのか.
良い子は,測定器具を買うときは,適当な中古品を買わないで,安くてもいいから信頼できる新品を買おうね!